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特集 Book Feature (From Japan & World)

変貌するアメリカンコミックス [From USA]

投稿日時:2009/12/14(月) 16:19

小田切 博

   一口にアメリカンコミックスというが、その呼称がさまざまな個性やスタイルを持った作品と、流通経路が複雑に絡み合った状況に対してほとんど有効に機能していないことは、以前からこの分野を研究してきた人たちにとっては自明のことだった。その複雑な流れがどのように生じ、現在どうなっているのか。アメリカンコミックスを注視し続けてきたライターの小田切さんにも、ようやく今、その全貌が明らかになってきたところだという。さまざまな支流が合流して豊かな流れになりつつある現在のアメリカンコミックスの状況について語っていただいた。

 

重層的なメディア

 

   アメリカンコミックスの現在を考える場合、まずここ5年間ほどでその産業構造がかなり劇的に変化しつつあることを指摘しなければならない。
   もともとアメリカのコミックス産業は日本とはまったく異なる構造を持ったものであり、しかもその構造が複雑に多層化されているため非常に理解しづらい。

   映画などでお馴染みのバットマン(Batman)、スパイダーマン(Spider-Man)をはじめとするいわゆる「メインストリーム」のスーパーヒーロー・コミックスでは強固なキャラクターマーチャンダイズ産業が確立され、『ピーナッツ(Peanuts)』に代表される新聞掲載のコミックストリップ(Comic strip)が「読み物」として一貫した市場を持つ。さらに60年代に一種のカウンターカルチャーとして出現したアンダーグラウンド/オルタナティヴ・コミックスの存在があり、80年代以降はイギリス、フランス、日本をはじめとした海外の作品が積極的に翻訳出版されており、それが国内の作品に直接的な影響を与えるようにもなっている。

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