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海外トピックス

私の起業体験 ≪米国≫

投稿日時:2009/08/18(火) 17:13

私の起業体験 ≪米国≫

 

●プロフィール  レガリア耀子

大阪市生まれ。同志社大学文学部卒業。日本および米国で貿易会社、会計事務所等に勤務し、ビジネス経験を積む。1989年、藍青ジャパニーズランゲージサービスを友人たちと起ち上げ、日本語学校および翻訳通訳業を営む。代表取締役である。
 

「え?私が会社を作るの?」なんとなく友人達との話の成り行きで会社を作ることになってしまったのは遠い昔、今から 20年近くも前の話です。当時は「起業」なんて言葉は一般的ではありませんでしたし、「個人商店」のような感じが私の頭にあったような気がします。でも「起業する」と決めたらやることはたくさんあったのです。カリフォルニア州やサンフランシスコ市への申請書類、登録手続き、オフィス探し、電話や家具の調達、保険選び、広告宣伝活動等々。忙しく走り回り、できることはすべて自分でやりました。そうしないと起業する意味がないと思ったものです。「石の上にも 3年」絶対にくじけない、という意気込みがありました。そうやって、遂にサンフランシスコのダウンタウンのど真ん中、といっても小さな雑居ビルですが、その一室にオフィスをかまえることになりました。
あれから 20年、長い間、翻訳エージェンシーをやっているといろんなドラマに遭遇します。変わった仕事もあれば、恐ろしい(?)仕事もありました。どんな仕事が、また、どんな人生が飛び込んでくるかわかりません。わがオフィスを友人の一人がアメリカの探偵小説に登場する「探偵事務所」のようだと評していました。まさにその通り。翻訳会社というものは派手さのない地味な仕事だと思っている人も多いと思いますが、楽しくて苦しい、非常に魅力的な仕事であることは保証します!
ただし、翻訳が好きな人は要注意!自分で翻訳する機会は限られています。私も一介の翻訳者として、自分で翻訳したい書類も多々あります。でも、時間が取れないのが実状です。翻訳作業は集中力が大きな要素となりますが、どうしても邪魔が入ります。メールが来れば即答し、電話がなれ
ば取ってしまう。クライアントが来る。そうだ、ミーティングを設定しなければ…。そうこうしている内にあっという間に夕方に。悪友がビールを飲もうと誘いに来る。あーあ、また徹夜か・・・。フリーランス翻訳者でもこれは同じですね。時間をうまく利用して、無駄を省かないといけません。仕事(時間)の大半は営業活動です。見積作業、スケジューリング、翻訳者のトレーニング、インタビュー、既存のクライアント、翻訳者達とのミーティング等々。
翻訳会社というのは、クライアントと翻訳者、そしてエージェンシー、立場はそれぞれ違っても、プロジェクトをともに遂行して行くという同志のような感覚が持てるのが確かに魅力といえます。クライアント、翻訳者たちとの信頼関係が築きあげられ、お互いの信頼ネットワークが翻訳エージェンシーの持つ利点です。
ビジネスには人と人とのコミュニケーションが一番大切だと考えています。インターネット、メール、携帯電話が必須の昨今では、人との信頼関係も形を変え、失われつつあるようにも思えます。言語を仕事としている以上、コミュニケーションは忘れてはなりません。
サンフランシスコには翻訳会社がたくさんあります。多数の国の人たちが集まっているし、ニーズがあるからです。多くの翻訳会社では、多国語を扱っています。百以上もの言語を扱っている会社もあります。弊社も、今後は日本語―英語に限らず、他の言語にも積極的に扱っていきたいと考えています。自分のできない言語を扱うのは難しいのではないだろうか?とずっと思っていましたが、実際はそうでなく、これもまた信用できる翻訳者とのネットワークの構築に他ならないと確信しています。

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